令和3年度 医療法人社団帰厚堂事業運営方針

  当法人では「愛と誠の精神」という基本理念のもと、良質かつ安全・安心な医療・介護を持続的に提供していくために、南昌病院はじめケアセンター南昌などの各施設が一体となって事業を推進してきた。
国では、少子高齢化の急速な進展による、2025年問題、更には2060年問題による社会保障制度の将来像の確立が急務とされており、総医療費の抑制策による病床機能の再編等が進められたことから、これまでと同様の医療・介護の提供では収支の均衡を保つことが厳しい診療・介護報酬の内容になってきている。これらの情勢の中で、医療・介護事業を推進していくためには、地域で必要とされる当法人の医療・介護機能を明らかにし、より一層のサービス提供体制の確立が必要とされている。また、医療・介護従事者等の人材確保も厳しく、働き方改革の施行等とあわせて取り組みを推進する必要がある。
これらの情勢を踏まえ、人材の定着化と人材育成、チーム医療の推進等による魅力ある職場作り、関係機関との連携強化による患者確保・利用者確保の取り組みによる、持続可能な経営基盤の確立が必要とされる。
このことのためには、より質の高い医療・介護サービスを継続して提供し、地域から選ばれる病院・施設になるために職員が一丸となって取り組むものとする。

基本方針

Ⅰ.良質な医療・介護が提供できる環境の整備

ねらい

● 患者・利用者中心の安全・安心な医療・介護の提供

● 役割分担と連携の推進(取組みの視点:患者・利用者の視点、業務の質の視点)

主な指標

○ 安全対策・感染対策の推進

○ 新型コロナ感染予防対策の継続

○ 防火・防災管理体制の推進

○ 患者(利用者)満足度の向上(対前年度比以上)

○ 入退院前後の医療・介護連携の体制強化

○ 超強化型老健基準の維持・強化

○ チーム医療・介護の充実

  1. 利用者の安全・安心な医療・介護の提供、安全対策、感染対策等の推進
    • リスクマネジメントラウンドの強化、インシデント事例の効果的活用等
    • 新型コロナウイルス感染予防対策の継続並びに感染者発生時の迅速かつ適切な対応
    • 感染対策、ICT活動・施設内ラウンドの継続
    • 医療安全管理体制を整備し、より安全対策を強化
  2. 防災対策の推進(火災や自然災害を想定した避難・誘導訓練・研修の実施)
    • 利用者へのサービス提供体制の充実
    • 患者・利用者の満足度の向上(満足度調査:南昌病院・ショートステイ)
    • 安定した人材の確保
    • 病院機能評価によるリハビリの「高度・専門機能」認定(旧付加機能の更新)
    • 盛岡南部地域リハビリ広域支援センターとしてリハビリを地域へ発信(岩手シルバーリハビリ体操指導者養成事業等へ継続して協力ほか)
    • 看取り機能の充実
    • 訪問系サービスの充実
    • 介護予防と地域ケアパスによる認知症施策の推進
    • O/L面会の通信環境の拡充
  3. 医療・介護の提供体制の強化・整備
    • 診療体制の強化・充実(医師確保による診療体制の充実:南昌病院)
    • 入退院前後における医療・介護連携の体制強化
    • 超強化型老健基準の維持・体制強化(敬愛荘、博愛荘)
    • 在宅復帰に向けたリハビリテーションの強化
    • 薬剤管理指導・病棟薬剤業務の強化
  4. 医療・介護提供基盤の充実整備
    • 南昌病院の外壁等改修整備
    • 介護サービスのIT化推進及び介護ロボットの使用検討

Ⅱ.効率的な医療・介護提供体制の構築

ねらい

● 運営体制の効率化と適正化(取組みの視点:業務効率の視点)

主な指標

○ 地域包括ケアシステムの推進

○ 法人施設間の連携体制の推進

○ 在宅療養支援病院への取組み

  1. 関係機関と協働し地域包括ケアシステムの実行と推進 矢巾町、紫波町及び紫波郡医師会と連携し、地域包括ケアシステムの推進を図る
    • 紫波郡医師会と協働して、地域の医療機関との病診連携を推進する
    • 紫波郡内のリハビリ支援体制の強化
  2. 病院・施設間の連携体制の推進強化(病院・施設間の連携体制を推進するため、情報共有と定期的な協議の実施)
    • 多職種連携してネットワークづくり及びチームケア体制を図る
    • 岩手医科大学附属病院との連携強化
  3. 事業運営の見直しと効率化の検討
    • 南昌病院:在宅療養支援機能の推進
    • 持分なし医療法人認可に伴う諸制度への対応

Ⅲ.安定した経営基盤の確立

ねらい

● 安定した経営基盤の確立(取組みの視点:財務の視点)

主な指標

○ 各施設の患者・利用者の確保

○ 2021年介護報酬改定に対応した基準等の内容検討(上位基準・加算の算定等)

○ 経営収支(黒字) 各施設(事業)の収支均衡

○ 地域で必要とされる施設機能の検討

  1. 経営基盤確立のため患者・利用者の継続的な確保、施設(事業)毎に目標値を定め、取組みする
    • 病院:病床利用率 95.0%(171人/日) 令和2年度 92.4%(166.3人/日)
    • 敬愛荘:利用率 95.0%(90人/日) 令和2年度 93.8%(89.1人/日)
    • 博愛荘:利用率 95.0%(88人/日) 令和2年度 92.1%(85.6人/日)
    • 診療所:患者数 1日平均 25人以上 令和2年度 14.6人/日
    • その他施設:対前年度以上
  2. 経営収支の改善
    • 2021年介護報酬改定の適切な対応(新基準・加算取得、上位基準の取組)
    • 診療報酬及び介護報酬等の職員勉強会の開催
    • 職員の適正配置(施設基準を原則基本とし、適正な配置に努める)
    • 職員のコスト意識の醸成
    • 利用者状況(空き情報)の関係機関へ定期的な情報発信による利用者の確保(若園荘・恒和荘等)
    • 経営基盤の確立を図るため、地域へ情報発信等を行うなど患者・利用者の確保へ繋げる

Ⅳ.職員の勤務環境の改善及び資質の向上等

ねらい

● 働き方改革関連法に基づいた勤務環境の改善・充実

● 人材育成と意識改革等(取組みの視点:職員の働きがい・学習と成長の視点)

主な指標

○ ハラスメント防止措置

○ 年次有給休暇の計画的な取得

○ 36協定の遵守

○ 勤務環境改善計画の推進(南昌病院)

○ 医療クラークの配置

※ 人材育成は特になし(間接的に2~3の成果に反映)

  1. 職場環境の改善と法令遵守
    • 労働時間管理
      • 職員の出退勤時間の管理体制強化
      • 時間外勤務時間の管理と36協定の遵守・徹底(毎週水曜日ノー残業デーの推進、時間外勤務者へ部署内での声掛け等)
    • 職員の負担軽減
      • 医師の業務負担軽減(医療クラークの配置)
      • 業務内容を見直し、省力化と効率化を各事業所で検証・対策
    • 職員の健康管理
      • 定期健康診断の結果に基づく、健康管理強化(有所見者等への経過等管理)
      • ストレスチェック及び定期健康診断結果から職員の相談窓口の体制整備
    • 働きやすさ確保
      • ハラスメントの防止措置(パワーハラスメント・セクシャルハラスメント・妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント等その他あらゆるハラスメントの禁止)
      • 職員の勤務環境等を把握し、課題の抽出のうえ改善を検討・対策
    • 働きがいの向上
      • 年次有給休暇の取得の推進(全職員5日以上の取得と全事業所取得率60%を目指す・誕生月の年次取得)
      • キャリアアップの支援、人事ローテーション、休業後のキャリア形成等支援
    • 服務規程等の遵守(利用者の人権尊重・規則遵守の徹底)
  2. 職員研修の充実と重点的実施 職員研修、外部研修及び個別研修をとおして医療、介護の質向上・充実を図る
    • 専門的知識や技術取得のために、各職域の学会や研修会への参加を積極的に支援するとともに、職員の啓発意欲に応えるため、自己研修の機会の提供、所要経費の助成などの支援を行う
      • 職種別の研修、外部研修及び個別研修の推進
    • 全職員研修を計画的に実施する、特に医療安全と感染対策等の法令で義務付けられた研修については、出席率の向上を目指す
  3. 職場の実態と能力に応じた人材育成
    • 介護職員の処遇改善と職種ごとのキャリアデザインに応じた、計画的な人材育成を行う
      • 職員の労力・資格・経験等に応じたキャリア・パスの仕組みの導入に向けた実施
      • 介護職員のキャリア・パス制度を確立し、アセッサー資格者の養成 (レベル3以上)
    • 専門資格を有する職員の計画的な人材育成により職員の資質向上に努めるとともに、その能力をチーム医療等に役立てる
      • 認定看護師(脳卒中、褥瘡、感染等)、特定看護師及びリハビリ職員の認定療法士資格取得に向け積極的な取組みを推進